セシル!!!
[ハワード達の前だという事も忘れ、悲鳴に近い声で名を呼び顔を覗き込むようにと膝を折る。
抱きしめられた手を、体を必死に支えようと腕を伸ばせばまるで縋りつくかのように、逆に抱え込まれた。]
どうしてよっ!どうして私を置いていこうとするのよ……
何でよ…私に黙ってた時だって、今回だって……!!
私だけ生きてどうするのよ……どうしろって言うのよ…
ねぇセシル、嫌よ一人にしないで…お願いだから……!
[ボロボロと子供のように泣きじゃくり、嫌だと繰り返す私の顔をセシルの両手が包む。
その手に自らの手を重ね合わせ、囁かれた言葉に水量を増やすばかり。
やがて、押し付けられた額も手も暖かさが失われていくのがありありと分かってしまい、必死に自分の熱を額に手に体に移そうとしてはみたが。]
セシル、セシル!!目を開けてよ、まだ教えてもらってない事も……伝えてない、事も…!
沢山、あるのにっ……
[もう僅かな温もりさえも感じられない男の体は、非情にも女の腕の中へと落ちていった。*]
(11) 2014/07/15(Tue) 01時頃