[小さな女の子を診てもらってからは、診療所は滅多に訪れなていない。
財布を常に気にして、体調が著しく悪くなったタイミングにしか訪れない。
見るに見かねたのか、ミナカタからは賞味期限ぎりぎりの栄養食を分けてもらったこともある。
良い人なのだと思う。もっとも、自分にとっての良い人のハードルは驚くほど低い。
何か物をくれたかどうか、それだけだ。それが食べ物であれば、鰻登りで評価は花丸急上昇。
お菓子をあげると言われても見知らぬ人についていくなとは子供の時に習ったが、間違いなく自分はついていく。]
くしゅん……!
[思いのほか可愛い声でくしゃみしてしまう。寒い。本当に寒い。
診療所に行けば、ぬくぬくの布団のおまけつきであることを知っていれば、間違いなく今すぐに行く。
だがそれを知る術がないために、自分のこととなると結局はお財布の中身と相談して、足が遠のくのだった。]
(11) 2013/12/06(Fri) 00時半頃