うん……急に目の前で泣き出したらそりゃ、驚くでしょ。
大丈夫。もう、平気だから。
[こうしてこのままこの桜の樹の下に居続けられたなら、もう何も思い出さなくても済むかもしれない。
それなら本当に、平気なのに。]
手。うん、握ってる。
元気出るまで、いつまででも、こうしてるよ。
忍耐と根気だけは、ある方なんだ。
[なんせ12年も地縛霊やってますから、とは言わないけれど。]
や、でも、ほんとごめん。
具合悪そうだから、様子見に来たのに、こんなの馬鹿じゃん、ね。
[少しの間(>>4)、と頼まれて手を握る。
そうして繋いだ手元見て、ようやく気づいた。ほんのりと自分が向こう側を透かしていること。
希薄すぎる僕という存在が、いま彼女の手をとることで繋ぎとめられている気さえして、僕も不安になって握る力はぎゅっと強くなった。]
(10) 2012/03/14(Wed) 02時頃