― 廊下 ―>>2:208>>2:209
[ 魔性を露わにしたケイイチの声>>2:208に、明之進は答える言葉を持たなかった。否、生み出せなかった。ごく僅かな音でも拾う能力を持つ彼の前だというのに、なぜ影に囁く声程度で隠匿することができると考えたのか。
淫気に半ばまで浸食された一瞬だけ理性を取り戻して、少年は魔に取り憑かれた対魔忍の少年を睨む。]
…………お前、が。ケイイチに、取りついた――
[ けれど明之進の言葉はそこで途切れる。立ち込める淫気に操られた如くふらりと立ち上がった耳元へ注がれる声>>2:209は、少年の意識に拒絶感を残さなかった。]
……早く『こちら側』へ――?
でも……まだ、ぼく、は。
[ かすかに漏れたのは対魔忍を目指していた少年の心の残滓か。
ただ次の瞬間、ほうと吐いた彼の吐息は艶を帯びてひどく熱いものだった。]
(10) 2018/02/25(Sun) 01時頃