──独房16──
[四六時中薬漬けになっている青年は、麻酔が効き辛い体質となっている。むしろ効いたかどうかもあやふやな程で──どのみち痛みは麻痺していたが──目を覚ますのも、比較的に早いほうだった。]
……おはよー、ございま?
[ぼーっと目を開けて、知らない部屋を見て、ここは何処だろうと考える。]
あにきのとこじゃないしー、りゅーちじょじゃないしー……。
[埃っぽい毛布をぎゅーっと抱いて、大あくび。もう一度寝てしまおうかと目を閉じかけた時、毛布に押し付けられた右手首のあたりにゴリっとした違和感を感じた。]
?
[テンションの上がり過ぎた時、あちこち怪我してそれに気づかないのはよくあることだが、何か埋まったようになっているのは初めてだ。不思議そうに首をかしげてその場所を弄くり回す。痛みはなく血も出なかったが、妙な気持ち悪さを感じた。]
……ま、いっか。
[やがて飽きれば、ぎらぎらと輝く瞳で部屋をぐるりと見渡した。]
(10) 2012/04/08(Sun) 11時頃