(……最初にこの姿を見たときは驚いたさ)
[グラスを持っていないほうの手で拳を握りしめながら、内心そんなことを呟く。
人間たちにせよ、他の種族たちにせよ、一体誰がこんな姿の自分を見て嫁にきてくれるなどというのだろう?
愛してくれるなどというのだろう?
始まる前から何とも言えない諦念に心折れそうになるが]
(……。まあ、いいか)
[こうして他種族が多く集まっているこの場が、外の世界を知る絶好の機会であることは間違いない。
ノクスフィグラの明日を担う身としては他種族の知識や技術を学ぶ絶好の機会でもある。
そして、この機をむざむざ逃すこともないだろう。
そう、気持ちを切り替えると後の行動は早かった。
近くにいた給仕に空けたグラスを預けると、迎賓室を出て宮殿内部を散策しに向かう。
散策の途中もしかしたら他の種族や、或いは召喚された人間たちに出会うこともあったかもしれない]**
(10) 2018/11/24(Sat) 00時半頃