―靴屋入口/午前―
んんー、ふああ。いい天気だなァ。
こんな日は木の上で昼寝に限る…っていってえな!
わかってるよ!海もゴキゲンだし
船もたくさんくるんだろ?お出迎えしなきゃあな。
「珠生(たまな)る島をピカピカの靴で」ってさ!
[朝っぱらからサボタージュ宣言をする悪ガキには拳骨を一発。なんてことはない、この靴屋の前では日常茶飯事の光景だ。今日も出来たての靴を並べ、一つ一つ丁寧に磨いてやる。頑固オヤジのゴツい手で作られた革製の靴は、ナメシ液に森真珠末を混ぜ込んだ特別製だ。うん。今日もピカピカだ。オヤジの真似をして腕を組み、うむと頷く。]
[馬鹿野郎、おめえのモンが出てねぇじゃねえか。そんな怒号が店の中から飛んでくる。トニーはへらへらと笑いながら、あいよーと申し訳程度に背もたれの付いた木椅子と小さい木箱を持ち出して、陽射しを返してピカピカと光る磨いたばかりの靴達の傍らに並べた。椅子はお客さん、小箱はお客さんの足用だ。トニーは店の呼び込みをしながら、観光に降り立った人々に靴磨きのサービスをする仕事をしていた。]
さあて、今日は何人きてくれっかな!*
(10) 2017/08/07(Mon) 22時半頃