─回想/6日目・仮想空間内、トレイルの部屋─
……。…んな、事、……穂積、だから、
わかって、…わかってなのに、言って…お前、……
[落ちてしまう。真直ぐに、ただひたすらに。
一度崩してしまえば、越えてしまえば二度と戻れない領域。立場。──そんなものを、それでも彼は越えた。越えて、来てくれた。言葉が上手く紡げず、途切れた単語が漏れ。俯いて目元までを覆う。
──こいつは男で。俺も男で。
──そいつはつまり、男でさえなければ、最初から良かったと言う事じゃないのか]
……ち、っくしょ…、
あぁ…もう、──最初っから、…惚れ、てたんだ、俺が、どうせ、
惚れて、でもお前男で、抱きてーとか、何かしてーとか、そんな、…気持ち悪ィだろ、そんなって、…っ…
何なんだよ。なんなんだよお前、ばか、──そんな、急に、言うんじゃ…ねぇよ…っ
[合致する自身の感情。一度目を向けてしまえば、あまりにもすんなり腑に落ちる。
唸り、半ば八つ当たりのような悪態まで混じる、声を発した]
(9) yakan 2014/03/27(Thu) 20時頃