――一週間後・本部――
[全身を拘束具に包まれて、尋問を受けた。
いかに拷問まがいのことを行われようと、少年に行われたことへの言及になると、口を噤んで話さない。
しかし四日目になると、おずおずと喋れるようになった。
曰く、痺れ薬を投与された、血を抜かれた、性器を嬲られた、部隊や本部の情報を尋問された、耳と尻尾をひたすら愛でられた、等。
日を重ねるごとに喋れることは多くなり、落ち着いた様子になった]
[つまりは完全な掌握を受けて真実は語れず、ヘクターという男の精神は声無き咆哮を上げていたが──誰も気付くことはない]
[いくら検査をしても、身体、脳ともに異常はまったく見当たらない。
やがて魔の軛から徐々に離れ、正常な受け応えが出来るようになったと解釈された。
怪我も完治し、会議の当日ぎりぎりに、要監視の状態で隔離が解かれた。
あの夜の手錠よりも強力な、肘から指先までを覆う拘束具で後ろ手に縛られ、口元から顎までを特殊な鉄のマスクが覆っているが──喋ることと自分で動く程度は許された**]
(9) 2016/06/07(Tue) 07時半頃