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[覚悟は、出来ていました。
出来ていたというよりも、そうあってくれるほうがいっそのこといいと思っていたのかもしれません。
今日も箱の中の名前は統一性がなく、狼さんたちが狙い澄ました誰かか、虚しくもどこかへ連れられて、命を絶たれるのでしょう。
ああ、と、あたしは深く息を吐きました。
もう、どうしようもないのです。これがこのまま繰り返されて、何をしたところで多数決の数は覆らなくて、あたしたちは無残に息絶えるほかないのです。
誰の思いをまとめることも出来ず、ただ独りよがりに、敵意を貫いただけのあたしに残された仕事は、唯一この命を捧げることだけでしょう。
願わくば、かの狼の牙に。食い千切られて苦痛にふるえる人間を、ひとりでも減らしたいと思いますが、果たしてそれは叶うでしょうか。]
(8) mmsk 2018/08/06(Mon) 00時半頃