[ 駄菓子屋のおばあちゃん曰く、
この子、お金が足りないの。と、
皺の多い顔を、困惑で更に皺くちゃにして。
子供というのはどうしてか、一度欲しいと思ったものを手に入れられないと知ると、とても悲しくなってしまう。
だからか、女の子は瞳いっぱいに涙を溜めて。
そんな姿を見ていられなかったから、
財布を取り出してお小遣いから、少女に奢ってあげようと。]
どれが欲しいの?
[ 駄菓子なのだから、大した値段じゃあないだろう。
と、思いきや、少女が指差したのは、ちょこっとだけ置いてある、アニメのヒロインステッキを模した玩具だった。
はっきり言って、駄菓子とは桁違いに高い。]
……は、……わ、わかったから泣かないで。
おねえちゃんが買ってあげる!
[ 寂しくなる財布に内心こちらが涙しつつ、店主にお金を払い少女にステッキを渡すと、少女はシルバーブロンドの髪を揺らめかせて屈託なく笑った。]
(8) 2017/07/07(Fri) 00時半頃