―回想・Xday-3dayより一年前・学校の男子トイレ個室―
[遠くで授業の開始を知らせる電子音が鳴り渡る。
けれどこの場所から動く気にはなれず、晶は閉じた便座の上へと腰を下ろして目の前へと生体ディスプレイを展開させた。
彼女からのメッセージは数え切れない量で、けれど送信した自分のそれの方が遥かに多かった事に気付いていない訳ではなかったのだけれど。
一通一通、削除していく。
スクロールを示すバーが少しずつ短くなっていくのをただ見つめながら機会的な作業を繰り返した。
最後の一通を削除しようと、指先を小さく動かして、迷い……新規メッセージを立ち上げる。
――会いたい。
諳んじていた筈の宛先を打ち間違えた事に気付いたのは、メッセージをネットワークに解き放った直後だった。
気不味さにやるせない気持ちで溜息を漏らす――けれど、視界に現れたのは]
新規受信?
(8) 2014/03/11(Tue) 02時頃