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[多勢に無勢、自分一人じゃどうにもならないことなど分かっている。でも、自分の気持ちを抑えることが出来ない。そのうち機動隊の一人に腕をとられ、引っぱられた。「離して!」そう言って力の限り拒絶し振りほどけば更に大きくなる周りの怒声。負けるものかと睨みつけ精いっぱいに虚勢を張る。もう1度伸ばされる複数の腕に耐えようとした瞬間、何処からか聞き覚えのある声がした。辺りを見渡せば機動隊員の中に1人、少し趣の違う青年。それは以前ボランティアをすることになった際に会話した人物だとすぐ思い出した。]
おにーさん…。
[見知った顔に、ほっとして、思わず涙腺が緩みそうになる。しかし、ここで泣くわけにはいかない。目元に力を入れ一つ息をつけば頷き、素直についていく。その際に見えた固定された腕。『あぁ、ラルフさんが撃ったのは、この人なのか』そう知れば、複雑な心に少し視線を落とし彼に答えた。]
ローズマリー…好きなように呼んでちょうだい。
(7) 2013/07/31(Wed) 02時頃