[――しばらくの間、ずっとお化け屋敷の入口で待っていたが、いつまで経っても万里は出てこない。
もう既に、外はすっかり暗くなっている。
いい加減中に入って探した方がいいだろうか。もしかしたら、出口を探しているけど、見つからなくて震えてるとか。そう思ったらいてもたってもいられなくて、立ち上がった。その時、]
……万里…?
[周りには誰も居ないはずなのに。それなのに、風のようなかすかな囁き声が聞こえた。
それは、彼女からの別れの言葉。それをしっかりと聞き届けてから、微かに口角を上げて、微笑んだ。
彼女には聞こえないかもしれないけど、そっと口を開く。]
…馬鹿、当たり前だろ。こちらこそ、だっつの。
[良かった。万里は…しずくはもう、大丈夫だ。
ああ、でも、帰らなきゃいけない理由が出来てしまった。
今はもう、この世界を対して楽しいとも思えないから、別にいいんだけど。]
(7) 2015/06/26(Fri) 00時半頃