― 回想・車内にて ―
………、何だ。やっぱり座っちゃまずかったのか?
[不本意気に軋んだ座席に、何を思われたか。
もしも樫木がそれを口に出していたなら、"そんな歳じゃあない"と睨む視線の一つも向けてやっただろうが、心の声>>434なんて、それは勿論聞こえやしない。
だから、自分の腰の辺りに注がれる――思い違いで無いのなら、ある種の憐れみすらも感じられる視線の意味もわからずに。
何処か居心地の悪い気分で視線を泳がせば、少しだけ身体を廊下側に寄せてみた。
けれど樫木の口から続いた言葉は、これまた何ともけったいなもので。
言っている言葉自体は不躾なものなのだろうが、本人のあまりの真剣さと、そしてあまりに飛躍した内容とに思わず吹き出しそうになったから――無理やりそれを押し込めようとすれば、噎せるように咳を二、三度。]
(7) 2015/11/20(Fri) 01時半頃