[身体を作り変える熱さに耐える、呻きの合間。
赤黒い蚯蚓が再び床から這い出した。
忍耐によって失われる体力を補おうとするかのように、蚯蚓は性の匂いに導かれて、群れを成して移動する。
>>5:176床に散った白濁を目指し、辿り着けば新鮮な粘液を身体に纏わせるようにしながら吸い上げていく。
しかし、その程度では足りない。
更なる力の源を求めて、蚯蚓達が贄に選んだのは、ぐったりと力を失った五月雨だった。
>>5五月雨の身体が逃れようとする。それに合わせて足先に纏わりつき、互いの身体を繋げるようにして床と五月雨の足先をその場に縫いとめる。
彼を運ぶヤナギには、急に五月雨の身体の重量が増したように感じられるだろう。
それは蚯蚓の重みであり、五月雨がその腕の中から奪われようとしているが故の、重みだった。
瞬く間に蚯蚓は五月雨の身体の表面を覆い尽くしていく。
たとえヤナギの手がそれを払おうとしても、増えていく蚯蚓がそれを凌駕する。
やがてその足先から頭の先までを蚯蚓が覆い――不意に、ヤナギの腕の中から、重みが消えた。*]
(6) 2016/06/17(Fri) 11時半頃