[力の入らない腕を震えながら持ち上げ、とにかくベッドから出ようとする。
支えに出来ないかと掴んで体重をかけたものはイーゼルだった。当然のようにそれは勢い良く倒れ、僕の身体もベッドから滑り落ちる。
大きな音がして僕は床に強く身体を打ち付ける。袖が破けた。痛いけれど、もうそれは何の痛みなのか混ざってよく分からない。
イーゼルに乗っていたキャンバスが目に入った。暖かな暖炉とその前で談笑する人々の絵だったのに、今の僕にはとても……白々しい。
破り捨てたい気持ちにすらなった。そんな力も今は出ないけれど。
絵を見捨てるように目を逸らし、ベッドに腕をかけてやっとの思いで上半身を起こす。僅かずつ、腕と膝で歩くような姿勢で床を擦りながらドアへと近づいていった。
ドアノブに手をかけて何とか身体を持ち上げようと一気に力をかければ、手が滑ってまた盛大で鈍い音ともに床へと激突する。
倒れこんで無様に這う身体は、それでも諦めず立ち上がろうとしていた。]
(6) 2013/02/09(Sat) 13時半頃