―勇者学科・教室内―
[剣を腰につけたまま、教卓の前から他の生徒達に視線を向ける。
随分と楽しげにしているように見えるが、中には城のパーティーなどで顔を合わせた坊ちゃん、嬢ちゃんもいるようだ。]
結構顔見知りばかりだと思ったが、意外とそうでもないな。
思った以上に貧乏人が多そうだ。
[やれやれと言わんばかりに顔を顰めて、盛大に溜息を漏らす。]
貧乏人が勇者に…そんな夢を持っているんだろうが、残念だな。
今期の勇者という称号を得るのはこの僕だ。
なぜなら、アルデーヌ公爵家の長男様だぞ?
幼少期から剣も魔法も家庭教師に学んでいる。
[威風堂々と、偉そうな表情は変わりなく、笑いながら声を上げた。]
つまり、実力、家柄、容姿、どれをとっても僕以上に勇者に相応しいものなどいないということだ。
お前達も今からはっきりと理解して、僕に媚を売ることを覚えた方がいいぞ?
[周りにいる貴族の子どもは自分よりも格下であり、平民の子どもなどさらに格下だ。
(6) 2015/04/19(Sun) 10時頃