―回想そのよん:真琴―
失礼します。
[ノックを2回。真琴は部活棟に来ていた。
3年生のいる三階の教室にも足を運んだものの一所に留まることを知らないのか、なかなか捕まらず、ようやっと緒方先輩の居所が掴めたのは放課後になってからだった。
「どうぞー」との声に、緊張の面持ちで扉を開ける。
「やあ、そろそろ来る頃合だと思っていたよ」
新聞部の部室に入ると、にこやかな笑みを浮かべながら出迎える緒方先輩。それと部員数名(面識はない)が不思議そうに真琴の方を見ていた。言葉に詰まる]
あの……えっと〜忘れ物を取りに来ました。
(どうしよう、とても気まずい)
[そんな真琴の心境もお見通しらしい。
「ああ、これのことかい?」
くすりと笑って、W忘れ物Wの箱を、はい、どうぞと渡してくる。
「意外とそそっかしいんだね」などと言ってくるものだから]
(5) 2017/07/07(Fri) 00時頃