― 病室 ―
[その日も眠気に誘われるままに、昼前から自室のベッドですやすやと寝息を立てていた。が、]
――――!!はあっ、はぁっ、はっ、……
[夢現つの微睡みの中、忌まわしい男の声が聞こえた気がして飛び起きた。
壁を背にぐるりと室内を見渡すが、人の気配もない。]
(……夢、か?クソ、最悪な目覚めだな)
[夢にしては、いやにリアルだったが――いや、気のせいだ。ゆるく首を振って、声の名残をかき消した。
見渡した時に見つけたが、ドアの近くにトレイが置いてあった。その上には、カツサンドと、お茶のグラス。時計を見ると、眠っている間に昼食の時間は過ぎていたらしい。
医師は性欲を睡眠欲に変換させているとか言っていたが、全く効いていないと思えるほどに身体は熱い。]
んぅ……っ、……これ。四井か?ありがとな。
いただきます。
[起きてから飢餓感のようなものが激しく、心遣いがありがたい。
誰にともなく礼と食前の挨拶をきっちりとしてから、トレイのカツサンドに手を伸ばし、かぶりついた。]
(5) 2016/06/07(Tue) 07時半頃