【人】 地下軌道 エフ

［事を済ませた黒根に、ふらつく足で歩み寄っていこうとすれば、向こうが先に近付いてきた。>>0］

　あーぁ。
　御蔭さんで、なっ！

［腹に刺さった苦無を抜き、投げ捨てる。
　止血のために巻いてもらったばかりの晒は、深さを増した疵を起点に、赤く染まった。］

　……森……

　そういやぁ、玉愛どうした。
　小太郎がこっち来たってぇ事は、あいつの……

　……っ、おい！

［不意に、黒根の手が頭へと伸びてきた。
　何をするかと払いたくても、左腕は動かないし、右腕は地についた刀で身体を支えるのに、まさに手一杯。
　せめてもの抵抗に首を振ったら、頭がクラリとした。］

(5) 2015/05/23(Sat) 01時半頃