[そいつにまだ知性は残っていたのだろうか?
そのままゆっくり立ち上がり、床を蹴る。田原までは数歩。
飛びつこうとする動きに、しゃがむと同時に足を刀で凪ぐ。
少女だったものの足が空を蹴る。いや、もう空を蹴る足はそこにはない。
その足は、重力に任せて下に落ち、身体はそのままの勢いで田原の頭上を超え、ドアのほうへと転がる。
ひざから下はもうないというのに、少女だったものは腕と、その太腿で四つんばいになり、田原へ跳ぶ。
それは、常人ならば捕らえられるかどうか判らないほどの速さ。
だが田原はそれを目で追い、横へ跳ぶと同時に胴を凪ぐ。
既に刀の切れ味は鈍っており、派手だった服ごと斬るというよりも引きちぎられ、胸から下がその場に転がる。
転がった腰の部分についていたチェーンが、じゃらりと音を立て、しかし、それでもなお。]
まだ、無理か。やはり。
(4) 2011/12/10(Sat) 00時半頃