そんな、まさか。
まさか……まさかッ!!
[医者にはあまり激しい運動はするなと言われていた。それでも、その時ばかりは全身の力を使って校舎の入り口の扉へと駆け出した。
器官がひゅうと音を立て、肺が潰れそうだった。それでも、足は止まらない。
嘘だ、嘘だ!!絶対違う!絶対に由良じゃない!あれはただのマネキンで、由良は、由良は……]
[辿り着いた玄関の扉を開けようとガチャガチャと力任せに引っ張るが、もちろん開かない。しかし、玄関から見える校庭の真ん中にあるのは、疑う余地もなく彼の物だとわかってしまった。
だって誰よりも近くで彼を見ていたのだ。見間違えるはずがない。
あのマネキンは、由良なのだ。
今までのどんな発作よりも、激しい痛みが…の心臓を貫いた。
まるで雪の女王に心を氷漬けにされたカイのように、心臓から全身へ体が凍りついて行くようだった]
(3) 2014/04/14(Mon) 00時半頃