─登校途中・門戸家付近─
[朝。まだ吐く息は白くないのかも知れないが、ぐるぐる巻きのマフラーでは、それも確かめようはない。
寒さの中で1人歩くならば、いつもより大分早足で。
昨日は、カラオケに行く陣に付いて行ってはみたものの、途中からの記憶が無い。寝てた。
昨日のハイライト、小暮先輩の下久保成り代わり事件は少なくとも目撃していたものの、教科書に隠れて笑いを堪えているうちに、その後どうなったかの記憶がない。
やはり、寝てた。
やがて、ある家の前にたどり着くと一時立ち止まり見上げる。
おそらくは、ここら辺に門戸の家があるかと思ったが。
クラスの住所録が今、手元にあるはずもなく下校時に近くまで寄った程度であれば定かには解らなかった。]
……まだ死んでんのかな。門戸のおっさん。
[風邪に伏せっているであろう、クラスメイトを一応、気にかけてはいるものの。
やはり、物の言いぶりは酷い男である。
そうして、またてくてくと学校に向かう道に戻る]
(3) 2014/11/01(Sat) 01時頃