[遂に椅子が震え、呻きを上げた。男が座しているのは――まだ歳若い様相の女だった。歯を食い縛り、柳眉な眉を悲壮に歪めて、気丈にも声を殺さんとしている]分かるかね、君。これはね。エルフを使用したモノなんだよ。流石に数百年生きているコイツらは、人間に比べて"頑丈"でね。[男の三分の一にも満たない小さな体で、エルフは必死に男の身体を支えている。商人は『椅子』に、エルフの特徴である長い耳がないことに気がついたようだ。まるでその尊厳を断つかのごとく、真中から半分に切り裂かれている。既に傷は塞がっており、耳が断たれてから長い時間が経っていることを伺わせる]
(2) 2011/08/29(Mon) 21時頃