[基地の中には入らず、乾いた草を踏み鳴らす。
電気をつけずにいたら、二人目の人があたしに驚くかもしれないと思ったから。っていうのは副次的な作用。
小さな広場のいちばん端っこ、いちばん景色がよく見えるところにハンカチを敷いて、腰を下ろした。
スマホに繋がったイヤホンをコートのポケットから引っ張り出して、装着。
クラスメイトの誰も知らないって言った、あたしのことを歌ってくれる音楽を聴こう、と思って。]
フン、フン、フン…♪
[住宅街の灯りはこんな時間でも明るい。大晦日だから、遅くまで起きてるひとが多いのかも。
それでも星の数には届かないけどね、なんて、一段高いところから人間界を見下ろしていいきぶん。
真冬の冷たい空気が肌を刺すのも、清浄な気がして気持ち良かった。
あまりに気分がいいものだから、気付けば鼻歌は、一人カラオケ大会みたいになってしまっていた。**]
(2) 2019/12/26(Thu) 01時頃