[『感謝しろよな。俺のお陰で良い写真、撮れたんだから。』
そう口にする前に礼を言われ、思わず口を噤む。>>2:353
こういう時だけ畳み掛けて来るのは正直な話、心臓に悪い。]
……あの本な。有難く寄贈させて貰ったさ。
[寄贈したのは半分嘘で、半分は本当の話。
送られて来た本は今も本棚の隅に隠すように置いてあるし、
図書館にある甥っ子の本はきちんと注文して取り寄せた物。
郷土資料とは違う棚にも写真集をこっそりと並べてあったりする。
一応、言い訳はいくらでも用意出来るのだ。
マクロウ出身のカメラマンだから、置いてあるだけだ、と。
尤も、写真はアルバムにきっちりと保管してあったり、
自室に残しているツヴァイクの活動記録の載った雑誌も、
甥っ子が映ったりしてる巻しかないのは言い訳が効かない。
スクラップに出来なくとも、棄てるには憚られていたからと
こそこそ男らしくない方法を取ったものだ。]
(1) 2015/11/25(Wed) 01時半頃