[そっと、こちらを振り返らない律の背に近付き、肩を抱き寄せて、体をくっつけようとする。
いきなりだから、突き飛ばされても仕方ないとは思うけど。
――触れた律の体も、やっぱりあったかい。みんなと同じ。
言葉は受け入れられなくても、彼のことを否定するつもりなんてなくて。
苦い罪悪感が、行き場を失ってあたしの中のヒビに染みる。]
……いるかなあ。そんな人。
こんなに汚れたあたしを助けてくれる人、いる、かなあ。
[>>1:374律の、掠れたような言葉には。
本当にそうだったらいいんだけど、って。少しだけ思って。諦めたように笑う。
あたしの心の深奥にヒビを入れた彼に対して、無意識のうちに、縋るような声を向けてしまうのだから。
踏み込まれるのを拒絶しておいて、そのくせ都合のいい部分だけ受け入れようとしてしまうのだから。
あたしは本当に、どうしようもない。
彼が先に食堂に向かうなら、黙ってそれを見送って。
少し遅れて後から行くつもりで、その場で呼吸を整えるだろう。*]
(1) 2015/07/08(Wed) 00時頃