夢を見る。
もう自分の家よりも知っているこの寄宿舎が、雪に囲まれている。はらはらと降る雪は今にも吹雪きそうだった。
ああ、嫌だなあと思いながら僕は誰かの声を聞くんだ。
言い争うような声。この建物の中じゃいつもの事だと僕は思っている。
嫌ったり、好きあったり。喧騒は冬の間も変わらない。
けれど次いで大きく扉の音がした。僕は知っている、玄関の大扉の音だ。
この雪の中を誰かが出て行ったのだ!
馬鹿だな、と僕はそれでもどこか冷静に思った。
ろくに進めもしないで帰ってくるしかないだろうに。
もう一度扉の開く音がした。誰かが追っていったのかもしれない。
馬鹿だな、ともう一度思った。あいつを追っていくなんて。
他の皆も彼らを追うことはしなかった。戻ってきたら笑ってやろうと思っていたのだろうか。
……だけど、二人は帰ってこなかった。
(1) 2013/02/02(Sat) 03時頃