― 10年前のキャット>>0:258>>0:259 ―
[疲れている場所。それは間違いなく、張り詰めている神経とか精神とか――なんて言う訳もなく、私は至って真面目に「肩と腰です」と答えた。
実際、勉強とか編み物とかで、私の身体は相当凝ってはいた。
個室で行われたマッサージは、ぎこちないながらも、本当に、本当に、ごく普通の肩もみ腰もみみたいなものだったのに。
「いかがわしいこと」「穢れたこと」をされていた訳でもないのに。
彼女に、触れられている――そのことを、この時の私は意識してしまっていた。
そういえば、お店の中で見た誰かの名前。彼女の名前?
どこかで、見覚えが―― … ]
あっ、 ……はい。
忘れます、わ。
[「忘れて欲しい」とメイドに小声で言われた時、私は反射的にそう繰り返した。
――忘れたい。
確かにその時はっきりとそう思ったのを、私は覚えている**]
(0) 2017/01/31(Tue) 00時頃