[>>=7団十郎の胸を揉む手に、まるで女の胸を揉むみたいないやらしさが混じったのも無自覚だ。
というより、予想外にぴとりと吸い付いてくる胸筋に、予想外に興奮したというのが実際のところ。
団十郎が俺の手から逃れようとした拍子に足に当たったのは、紛れもなく反応しつつあるアレで。]
……なに、団、俺の手で興奮してんの。
[にやりと口角を持ち上げる。
――――俺のような脇役メインの、見た目的には冴えていると言い難い男が人気若手女優と結婚できたのには理由がある。
俺たち夫婦は元々かなり仲が良い方だった。
彼女がやれ恋をしただの失恋をしただのという愚痴を聞くのが俺の役目で、彼女は諸般の理由から俺を完全に信頼していたし、俺としても彼女を少し年下の妹のように思っていたのだ。だから俺と彼女は結婚した。
更に彼女の要望で子供をもうけ、結果的に俺たちはおしどり夫婦と呼ばれるようになっている。
しかし、今までもこれからも、俺と彼女の間に恋愛感情が芽生えることはないだろう。
互いをパートナーと認め、結婚してそれなりに経つが、それでも、お互いに『好みではない』のだ。]
(=9) 2017/06/03(Sat) 14時半頃