― 閑話休題・とある平和な日常風景 ―
[石造りの小さな家の中、やはり小さな厨房があって少女《私》はそわそわとお茶菓子を用意していた。
ラム酒漬けのドライフルーツとナッツをたっぷりと入れたバターケーキ。
たっぷりとうったシロップにもラム酒を入れ、とても香りがよくしっとりとしていて。
仄かに漂うラム酒とバターの香りは食欲を唆る。
甘い物だけでは物足りないだろうと胡瓜とハムのサンドイッチとスコーンも用意して。
後は愛しい人《キリィ》が来たら紅茶を入れるだけである。]
…ねえ、モルス。どうして機嫌が悪いの…?
[10年程前、愛しい人《キリィ》と白い梟《モルス》の間で何か諍いがあったらしい事は知っている。
具体的に何があったのか少女《私》は知らないが、両者の間、というより白い梟《モルス》が一方的に彼を嫌っていた。
少女《私》はゆるりと首を傾げ、愛しい人《キリィ》の訪問を心待ちにしている。
これも少女《私》と愛しい人《キリィ》が出会ってから何度か繰り返された平和な日常であった*]
(+416) 2013/06/09(Sun) 00時頃