貴様が寝ていたからだろう。
携帯――…鳴っていないぞ。
[バイトも大学もある彼のこと、携帯が鳴らないと鳴れば、電池切れが有力。
青年はそこまで頭が回らなかったが、今更クロゼットにしまいこんだ赤いコートを思った。]
母は、仕事だ。父に付いている。
―――…私は、母が父について働くのは嫌いじゃない。
躾には厳しいが、父が、伴侶とは支えあう相手のことだと言っていた。
それを伝えられたときは、よく分からなかったが、今はもう少し分かる気がする。
[同性で結婚できると夢見るほど、ロマンチストではないが、生涯を共に生きる覚悟に其れは似ていた。
母の思い込みの強さと、父の破天荒さを受け継いだ青年は、少し瞳を細めた。
母は思い込んだら一筋で、あることないこと町内に撒いてから手伝いに行ったし、
父は父で、可愛いもの好きが講じてくまっしーファンクラブの一桁台会員だ。
―――まぁ、ぶっちゃけるとナオ家は結構な変わり者揃いだった。]
(+187) 2013/12/14(Sat) 23時頃