―――、ごめん。[一瞬、そのまま捕まえてしまおうか。浮かび上がる欲に迷う指先は結局行儀良く腰に下りて。何でもないように袋を受け取れば、浅い傷痕を隠すように握り込んだ。だって、夢だと思っているのならこんな“証拠”隠し通す方がきっといい。あまり覚えていないと彼は言っていたのだ。もしも、全部知っていたのならもう、こうやって声を交わすことだって、出来ないかもしれない。]
(+145) 2015/04/09(Thu) 19時頃