[唇を割り裂いて、彼の口腔内を味わうように舌を這わす。
自ら牙へと舌を触れさせ、新たな鮮血を吹き出させ、血の気の足りていないであろう彼へ、同族の血を提供し――
否、一心不乱に口付けに夢中になっていた一瞬。
拒絶するように首を振る彼に気づいて。
ごくり。
喉奥をひとつ鳴らし、唾液と鮮血を嚥下した]
……傷を、早く治す為…、だよ
[彼の手首の血も貰った為、此方の体調には響かない。
あたかも仲間の傷を癒す為の使命に過ぎぬと紡ぐ言葉は、自分で自分を納得させるにも似て。
気づかれてしまわねばそのまま、一瞬の梳きを吐いて彼の脚の付け根へと穿つ長針。
催眠誘導のあるそれは、痛みを気づくよりも早く、対象を眠りへと導いてくれるだろう。
気づかれ回避されてしまっても、己の行動は同じか。
彼をソファへ眠らせ、己は床へと腰を落とし彼の足許、ソファへ凭れるようにして眠りに就く。
宛ら、手負いの獣を護るかのように**]
(+137) 2014/02/07(Fri) 03時半頃