[すんすん、と鼻を鳴らせば分かる相手の強さ。
ヤニクには遥かに劣るのだが、これまで食らっていた相手とは一回りも二回りも違う力の持ち主。
そんな吸血鬼が此方に向けるのは、侮蔑と悋気に孕んだ眼差し。
明らかに好意的に思えない雰囲気に、犬もまた睨み威嚇をした。]
っだよ、ケンカを売りに来たとか暇じゃねぇの?
『犬風情が、吠えるな。
如何してお前みたいな奴が、ノスフェラトゥ様に気に入られたのか。』
[露骨な不満と怒りを見せる吸血鬼に、此方は何も怯む事は無く。
寧ろ、手を前に突き出し、軽く指を動かし相手を挑発する始末。
そんな犬の様子を見た吸血鬼は、瞼を僅かばかり震わせながら殺気を高めていく。傍らに居る中級は何かを感じたのだろう、怯えの表情を見せ何処かへ行って。
犬が拳を作り構えをしたのと同時に、吸血鬼の膝が此方の鳩尾を抉る。
数段違う衝撃に、はっ、と息を漏らした後呼吸が出来ない。]
がっ、あ゛、……ぐ、ぅ。
[重い拳が、蹴りが、肘鉄が、容赦無く飛んで来る。]
(+126) 2015/08/08(Sat) 19時頃