― 更に一日が経って ―
[額の傷痕はすっかり消え失せた。
中級吸血鬼の生き血を啜りながらある事に気付く。
食屍鬼や下級吸血鬼に比べて数が少ない事に、このまま自分が吸い尽くせば全滅するのでは無いのか、と。
ある程度血を吸えば、首に突き立た牙を離し、中級吸血鬼を解放した。]
俺の気が変わらない内に、とっとと逃げろ。
[血を吸われた吸血鬼は、憎々しげに此方わ睨み、一目散に立ち去って行った。
そんな吸血鬼を見る事も無く、自分の拳を見遣り、そして喉に触れた。
吸血したばかり、というのもあるのだが、少しずつ少しずつ渇きを覚える感覚が薄らぎ、吸血衝動を起こす時間も短くなってきた気もする。
故に中級吸血鬼を狙う事に問題無くシフトに集中する事が出来、食屍鬼や下級吸血鬼を狙うのは、余程の渇きに苛まれた時ぐらいか。
さて、これからどうしようか、と考え、一人廊下を歩いていたら。
先程血を吸った吸血鬼と、別の吸血鬼が此方に向かってやって来たのが見えた。
そして、別の吸血鬼から漂う強い魔力の匂いに鼻は反応を示す。]
(+125) 2015/08/08(Sat) 18時半頃