[胸元に押し付けていた顔をあげ、目の前の人物を見る。
誰だったか、名前も出てこない程度の相手だ。
何故、このような姿勢で眠っているのかと思案する間があって、自分が取り乱して泣いたところまでを思い出す。
きっと、それで眠ってしまったのだ、と思いこむ。
そこから先は、夢の話だ。]
……すまない。
[小さく、少しばつが悪そうに謝る。
自分が汚れていることと服を着ていないことには不思議そうな顔をするけれど、それだけ。色々なことを気付くまいと、記憶も意識も閉じたままだ。
それよりも、会いにいかねばならないひとがいる。
汚れた身体を気にすることもなく手早く服を着て、短く礼を言うと、足は何も知らないままに歩み出す。
いつだって、探している人影は一つだ。太腿を何かが伝う感触がする。けれど、それも気のせいだとあっさり、流した。]
(+105) 2012/04/17(Tue) 21時半頃