― 吸血鬼の城:廊下 ―
[バタン、と乱暴に扉を閉めれば、只管渇く喉を癒そうと、一心不乱に獲物を求め走って行った。兎も角血を飲みたい。誰でも良い。早く血を寄越せ。寄越せ。
それだけを考えながら、何処に向かうかも分からず廊下を彷徨っていたら。]
――……っ!?
[目の前に捉えたのは、二人の食屍鬼が此方に背を向け、歩いていた。
彼らが何をしているのか知らないが、一刻も早く血の渇きを癒したく。背後から駆け寄り、一人の食屍鬼に食らい付き牙を立てた。]
……ぐっ。
[衝動のまま、本能のまま、食屍鬼の肌に牙を立て血を一度口にすれば。
鼻が曲がる様な臭さに、どろりと嫌らしくまとわりつく口触り、ヘドロの様な腐った味に、犬は思わす牙を離し、怯んだ。
その隙に、もう一人の食屍鬼が此方に襲いかかり、頭を殴られ。]
…っが! ってぇなぁっ!!
[とりあえず、犬が血を吸えるのは、二人の食屍鬼を倒してからだ。
一人の食屍鬼に殴りかかり、もう一人の食屍鬼に殴られながら、必死に血を奪おうとしていた。]
(+74) 2015/08/07(Fri) 23時頃