[緩まった腕>>+56の中、顔を見上げれば苦しげに顰められた眉を見つける。
願うかのように呟かれた言葉に、口角を上げたまま、首を傾げて。
彼に自分が既に死者であるという事実を告げていなかったことを思い出した。
必死に左へ右へと振られた頭を眺めていると、また涙が身体を濡らしたか。
どちらにせよ、甘く漏れた声を特には気にせず、宥めるような手付きは止めずにいたけれど。]
…会いたい?
[そう問われれば、初めて惚けた顔から拒絶の意を浮かばせて、目の前の友人を睨み付ける。]
…会えるわけ、ないだろ…?
[こんなに朝昼夜と問わず、淫欲に溺れるその姿を、彼の澄んだ瞳に入れてしまうなんて、]
…絶対に、嫌だ。
[拒絶は言葉だけではなくて目尻から伝う雫となって表れた。
宥めていた背のシャツを掴めばギュッと力を込めて、先程身動ぎし、拒んだ肩口に埋める。
そして咎めるように軽く噛み付きながら、一度差した光はまたぼんやりと闇の中へ。**]
(+57) 2014/06/28(Sat) 02時頃