──廃病院・地下──
[ 直円がまたちょっかいを出してくる前に終わらせようと腰を打ち付ける。卑猥な水音と嬌声がラルフから上がった。
世界で一番嫌いな音だ。
萎えこそはしなかったが、また血の気が引いていくのを感じた。酸っぱいものがせりあがってくる。
ラルフが快感を拾い始めたせいで、あの日の相棒と重なりそうになる。意識が飛びそうになりながら、視線をラルフから外して堪えた。
ここが地獄だろうか。
死にたい、と思ったのは二度目だ。貞次を初めて抱いて以来になる。
無論、衝動的にそう思っただけだ。実際のところ、やはり死ぬことはできない。
ラルフの射精の瞬間は近づいてきているらしい。後ろの締め付けがきつくなっているおかげで、亀吉もそろそろどうにか達することができそうだった。
限界が迫っていたとき、不意に頭を引き寄せられた。また恐れさせていただろうと思っていたから、これは意外だった。
囁かれた言葉に、目を見開く。しかし、ふっと悲しげに笑った。あのいつも浮かべている物憂げな微笑で。]
(+51) 2016/06/16(Thu) 03時半頃