[影流の方からは、甘い声しか聞こえてこない。
影流も、自分のように苛まれているのだろうか。
もし彼が熱に浮かされて、あられもない姿のこちらを見る余裕さえないのなら。それは好都合だと、思う。
しかし、絶頂の手前で置いてきぼりを食らっているのは確かで。
室内に反響し、満ちる嬌声。
どこもかしこも甘く淫らで、自分だけが、手をこまねいているような。そんな感覚。
それが正常なのか、色に溺れるのが正常なのか。もはや、分からない]
なあ …… キカ っ、 これ、
[キカという名前を、>>5:@12かろうじて思い出す。
先ほどから、何度か自分を揶揄るようなことを言って来ていた、幼い声。彼はどこに行ってしまったのか。気配の遠くなったキカを、か細い声で呼んだ。
冷たくなった腕で、触手をぐい、と引くようにして、身をよじる。
「動かしてほしい」「もっとして欲しい」なんて、直接言えるはずもなく。
ただ、藁にでもすがるように、幼い声がまた映像を再生してくれるのを、強請った*]
(+38) 2016/06/18(Sat) 01時頃