[日本のことわざにある烏の行水程ではないが。
自宅で洗うよりも数倍早く手を動かして、頭のてっぺんからつま先までを泡だらけにして洗う。
最後にシャワーで泡を洗い流し、顔にかかる水滴を掌で拭ってぶるりとひとつ頭を振った。
遠目に見れば大型の犬が身体を震わせて水滴を払い落すのに似た仕草は、丁度脱衣所から出てきたイアンの目にもとまっただろうか。>>*33]
手伝うって、なにをだ?
[手伝おうと思ったのにと、冗談めかして明るく言う幼馴染に首をかしげて。
夜の空気に身体が冷える前に足早に湯船へ向かう。
さっきの今で思考があらぬ方向へ傾きそうになるのを理性で引き止めているヒューに、イアンの視線に含まれた感情に気づく余裕はなく。
ほのかに硫黄の香りがする湯に足を浸すと、洗い場にいるイアンを横目で伺える位置に腰を下ろした。]
(+36) 2015/11/27(Fri) 22時頃