おい、坊さんになろうってやつが聖書をそんな目で見るんじゃねーよ。
あとさ、オレがお説教とか苦手なの知ってんじゃん。いいよ、話して聞かせてくれなくてもさあ。
つっても、聴こえてねーんだよなあ。
〔何を言っても反応しない相手に話しかけるように、ベッドの上に腰を下ろして下から神学生の顔を見上げてみた。
人の良さそうな、優しい線を描いていた彼の頬はここ数日でげっそりと痩せてしまったようにも見える。目の下に落ちる影も深く、なんと憔悴している事だろう。
それでも、神の言葉を語る彼の声はとても柔らかく聴こえる。]
ハナや、皆にもこんな風にしてやったんだな?
〔昨夜彼と話が出来なかった事を悔いる気持ちははくすぶっている。
それが彼にとって生きる道筋を示す事になったかどうかは、わからないけれど。
気に病まなければ良い。それだけ願った。]
なあ、ハナはオレやクラリッサみたいにまだこのヘンにいるのかな。
……泣いてねーといいんだけどなあ。
(+29) 2013/02/10(Sun) 18時半頃