……まあ。
驚いた。貴女喋れたの?
[ >>+19甘そうな琥珀にも似た金色の猫目を見つめ、ぱち、と真紅の瞳を瞬かせた。
私が見えたこともそうだけれど、何より会話が出来るなんて、思ってもいなかったから。
「ご機嫌なんてよろしくないってお顔」なんて言われたなら、普段よりも細やかな笑みを浮かべるだけ。 ]
あら、猫は綺麗好きだと思っていたのだけど。
[ ととん。
軽やかな動きで此方に進む黒猫への順応が早かったのは、人以外のモノ――シェーシャと会話出来る人間だった、というのが大きかったのかもしれない。
まあ猫が喋ってもおかしくないわよね、なんて。
前脚を芝生に座ってぺろぺろ舐める姿を眺めながら、伸ばしかけた手は宙を掠めるだけだった。 ]
( だってどうせ、触れないわ )
[ ――何も触れない、きっと誰にも見えないなら。
どうして私はまだ、ここにいるのかしら ]
(+25) 2016/02/21(Sun) 23時頃