[此方の挑発が余程堪えたのだろう。上級吸血鬼は激昂した。
此方を殺さんばかりの攻撃をしようとした矢先、何者かが軽々と腕で受け止めている>>+4:142。
嗅ぎ慣れたその匂いと、見慣れたその姿で誰かは直ぐに理解を示せば。]
ヤニク……。
[吸血鬼の王がやって来た事で、無意識的に安心したのか、がくり、と膝を崩し、床に倒れそうになるが、何とか耐えて。
そして、圧倒的な力を見せ付け、下等の食屍鬼を消滅させながら吸血鬼を退散させた王を見上げ、立とうとするが身体は言う事を聞かない。
そんな自分を見兼ねたのか、ひょいと抱き抱えられ。
あまつさえ、犬は束になっても構わない、と言ってくる始末>>+4:145。]
……なっ、……ボロ負け、だろっ。
[この吸血鬼は耄碌したのか、と内心毒付きながら。
犬の胸には口にし難い悔しさが其処にあり、ぐるぐると回り、苛む。フードを強く強く掴んで。
それが何の悔しさなのかも分からず、感情の処理の仕方も知らない。
心地良い揺れと共にある、絶対的な安心感を与えてくれる其処は、傷付いた犬を落ち着かせ、ゆるりゆるりと眠りの世界へと誘う*]
(+25) 2015/08/09(Sun) 19時頃