[残る片方は、同じ大陸の出身者。
自身の主は革命者であったが、彼は先駆者であった。
電子の狭間に生まれた存在を、心より隣人と評していた。
純粋さなどと言う青い感情とは離れて久しい己には解らぬ業。
己が友人に成り損ねた男の夢と希望。
もし、主人のことがなければ、自身一人の話であれば、
彼等を生かすべく剣を振るったことだろう。
老いた身が生き残るよりも、ずっと郷国の為になる。
何もかもが上手く行くとは思えずとも、
長く続く雨に差し込む光となれたはずだ。]
ですが、どうでしょうな。
彼はクラリッサ嬢の振るう断罪を良しとはしますまい。
平和とはかくも度し難いもの。
―――…それは、我が君も同じでしたか。
[最後は淡く笑って、腕の中の彼女に言葉を投じ、穏やかなる声色を取り戻す。彼女は子供扱いしないでと膨れただろうか、まだ間近で弾ける声が、尊い。]
(+21) 2014/07/20(Sun) 03時頃