[手を使わず嗅覚のみで血を啜るそのさまは、卑しい獣そのままだっただろう。
小柄な躯から毒ごと血を頂き、幾度となく喉仏を上下させた。
やがて血は身体へじわりと巡り、意識が完全に覚醒すると、バキン、と音を立てて手錠の鎖を破壊した。幸いにして、呪の封印などは施されていないようだった。
目隠しを床へと叩きつけ――目前の青年を改めて検分する]
――…ハープ弾きの子、か…
[何故、負傷した姿で此処を訪れたのか――
床へ落ちた剣に見覚えは無いが、『眠り姫』には心当たりが在り過ぎる。
しかし、ヒトがヒトを攻撃し、此処へと運ぶ意図が読めない。
もしくは…『眠り姫』はアランから第三者の手に渡り、他者に襲われたのか。
「お呼びですか」とばかり傍に寄るドールへと、ハープ弾きの青年の着衣の交換と、身体の洗浄を依頼する。既に止血も、傷の修復も始まっているはずだった]
(+17) 2014/02/06(Thu) 11時頃