『ガシッ!』
[近くにあった一本の木を、思いっきり殴り付けた。
じいんと痺れる様な痛みが感じるが、先程から痛む胸のそれを誤魔化す事は出来ない。
赤くなった指を労わる事はせず、キリキリ痛む胸を掴み、身体を屈めていたら。
木霊する幼馴染の声>>2:371
振り向こうとする前に、此方の肩が掴まれてしまい、身体が捉えられた。
どうしてこうなったのか、頭は中々理解してくれない。
行くなという声はとても弱々しく、儚く消えてしまいそうだが、耳はちゃんと拾っていた。
ヒューが告げるのは、もしかしたら本心かも知れない。幼馴染としての。
15年も一緒にいたのだから、離れて欲しくないと願うのは当然の事だろう。
幼馴染として引き留めてくれようとするヒューに甘え、籠絡して、雁字搦めに縛り付けたい欲が芽生え。
逃すまいと抱き留める手を掴み、力を込めてしまう。]
(+16) 2015/11/25(Wed) 20時頃