[ 小惑星SIL33999222上のガスに含まれる不明な構成要素>>1:123の特性が分かったのは、研究から数年が経ってからのことだった。
はじまりは、一本の白い髪だった。
ここにいる誰よりも若い研究員は、己によく絵の描かれた本を見せてくれたヒトだった>>2:200。]
『 可燃性、なし。支燃性、極微弱。
毒性、極々微弱。構成要素、不明物質数点。
――不明物質の一部に、
細胞の分裂暴走を引き起こす成分の含有を確認。
小惑星SIL33999222内での調査を一時休止する。』
[ 数年を共にした研究員たちの被害は軽微だった。
結果に対する必要摂取量が膨大すぎるのだと言う。
少なくとも数年単位、一定以上の濃度を恒常的に摂取してはじめて影響が出るらしい。
だから安心していいと笑ってくれた”たいちょう”たちは、透明な壁の向こうにいた。
――あの時から、己と誰かの間には一枚の隔りがある。]
(+12) 2020/09/04(Fri) 06時半頃